i hATE fUCKING eGGSHELL!

- ビリケンゆでたまご誕生悲話 -

...その時、ケイイチ(仮名)は、こう叫んだ。
「茹卵何ぞ独り殻にのみ在らんや!」と...



そんなに厄介な卵の殻なんぞ、最初から存在してなければ、
これほどまでに、食事が喉を通らなくなるまでに、自殺を考えるほどまでに、
悩んで、悩んで、悩み抜かなくても良かったのではないか?

そう、この人類が宇宙に飛び立たんとする現代においては、
誰が見たわけでもねえクソ恐竜とやらが闊歩してたクソ時代を懐かしむ
くらいにしか利用価値のねえクソ卵のクソ殻なんぞ、まるっきり必要ねえよ!
正味のはなし。てなわけで、

これがボクちんの答えだ!



ドドーーーン!


ある意味、「ゆで卵の最終形」とも言えなくはないですな。
ある意味、「ドサイバー」ですな。
ある意味、子供に見せるわけにはいきませんな。
ある意味、自然倫理を犯してるとも言えますな。というか
すでに神の領域をも脅かしてるのかもしれませんな。
そして、「ヤダッ、たくさんためてたのネ、ウフフフ」とか、
「アアン、こんなにいっぱい出ちゃったの?信じらんなーい」とか
聞こえてきちゃうのは、きっと小生の幻聴なんでしょうな、これが。
つーか、馬じゃねぇんだし、100年ためてもこんなに出ねーよ。

ちなみに、かのドクター中松 なら、これを「発明的解決」
呼んでくれるのでしょうな。きっと。

あと、「ゼリー」は洗浄して除去しておきましたので、どなたでも
安心してご賞味いただけるはずデス。




さっそく茹でました。
ただ気がかりだったのは、この愛らしきネオ卵が鍋の底に接触することに
より、破裂してしまうのではないか? ということ。
そう、今やこの卵、無粋にして前時代的な鎧を脱ぎ捨て、「スキンレス・スキン」
なるワケのわからない英語で呼ばれる薄絹しか纏っていないのデス。
そんな心配性なボクは、見ておわかりのとおりネオ卵を吊ったわけで。




そしてボクの心配も余所に、スキンも破れること無く茹で上がりました。
さすがは、日本のラバー技術。恐れ入ります。というか、これでは
現在の少子化問題解決の見通しも暗いものだなあ、と思ってみたり、
みなかったり。

んで、スキンを剥きました。が、少し問題発生。
どうやら、卵の白身とスキンの一部が癒着してしまっているのデス。
うーむ、これはスキン内部の「ゼリー」まで洗浄除去してしまったのが
原因なのであろうか? でも「ゼリー」が残ってたりしたら喰えんしなあ...
でもいまさらしょうがないので、とりあえず気にせずに剥くことに。



嗚呼、これはフォボスダイモスか?!


うーむ、これは誰が目にも失敗であろう。なんつーか、食べ物とは思えないほど
イビツな形してるし、どこぞの衛星表面を彷彿とさせるクレーターだらけだし。
なんか、ボクちんがイメージしたものとはゼンゼン違うよ、ママ!

まず、卵とスキンの癒着を許してしまったのは、スキン内部の「ゼリー」を
軽率にも除去してしまった為と仮定。
そして、卵表面にクレーターの生成を許してしまったのは、温度上昇により
内部に気泡が発生し、ネオ卵が沸騰する液中で暴れることにより、気泡が
全体に拡散してしまった為と仮定。(つーか、実際は少し違うんだケド。げへへ)


てなわけで、再チャレンジ!


今回は、前回の失敗を繰り返さぬためにも、ネオ卵にアンカーを付けました。
(金属製スプーンをアンカーとし、クリップにてネオ卵下部の突起に接続)
これで、激しく沸騰する液中でネオ卵が暴れまわることは、もはや
あり得まセン。きっとクレーターの生成も抑えられることでしょう。
そして、スキンに関しては、スキン内部に塗布されている「ゼリー」の
洗浄除去を、今回は見送らせていただきました。
これにより、「そんなもん喰って大丈夫かいや!」と、パニックを起こす
方もいらっしゃるかもしれませんが、もはやしょうがありません。
今や、完全に後に下がれない状況に来ちゃっているのデス。
とりあえず、前だけを見ることにしませんか。



完璧伝説が始まろうとしているのカモ。

イエア!
今回はアンカーの効果が絶大で、マグマのように沸騰する液中においても
ネオ卵は微動だにしません。イエア!
なんつーか、ボクの勝利が、すぐそこまで来ているような気がします。
そして、茹で上がり!



プルル〜ン

イエア!イエアー!
やっぱ、いろんな意味で「ゼリー」は大事だな、オイ。
なんつーか、前回の失敗が嘘のようにプルル〜ンと剥けちゃうよ、これが。




イエア! パーフェクツ! アーンド ビューリフォ!!!

イッヒー!
これだよ、これ! ボクが求めてたものは!
なんかもう、この領域においては、人類の英知を遥かに超越してしまった
ような気すらしてきます。なんつーか、確実に神に近づいた気分です。

ただ、一つだけ残念なのは、この卵のチャームポイントであるところの
ビリケン頭を彷彿とさせる「突起」の先端がフラットになってしまった事。
これは、アンカーを接続したクリップが原因となったわけですが、この偉大
なる実験の成功を考えれば、もはやそんな事はどうでもよい事ですな。


新旧「ゆで卵」の対峙



うーむ、これは、ゆで卵の世代交代、というか、
なんだか輝かしき時代の到来を感じさせてくれる絵ヅラですな。


「これでボクの役目は終った...」
あとは、二十一世紀の担い手たちにまかせておけばいい。
タバコに火をつけながら、そうつぶやく。 そして、

「しかし、こんなモノがゆでたまごの未来を変えてしまうとはな」
と、今回の実験成功に多大なる貢献を果たしたゴム製品を手にした時だった。

「ちょっと待て!」

本来これに収まるべき物質も卵と同じ動物性蛋白質だよな、オイ!
「...茹でると、どうなるんだ?」 そう言い終るが早いか、
ボクの右手はボクの自身にソレを装着し始めていたわけで。
そして、ついでに夜の無聊を慰めるべく...



- 完 -



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